1.夫婦の財産は誰のもの?(その3 二次相続って大変!)

税子「前回『夫婦間で相続があった場合1億6千万円までは相続税はかからない』って聞きました。つまり、夫が亡くなっても財産が1億6千万円以下の人は相続税のことをまったく気にしなくてもいいってことですよね?」

稲葉「確かに、妻が夫から相続する分についてはそうだけど・・・。でも、自分から自分の子供への相続の時にも、できるだけ相続税がかからないようにしてあげたいなぁって思うでしょ?」

税子「それは、もちろんそうです!一生懸命子供たちの為に残したお金が税金で持っていかれるなんて・・・・!!」

稲葉「税子さんのところは子供が2人だよね」

税子「2人ですね」

稲葉「もしも、夫⇒妻という順番で相続があったとして、仮に、夫から1億6千万円の財産を相続して、それが全く減らずに子供たちに相続した場合の税金は・・・」

税子「あれ?相続税かからないんじゃないんですか?」

稲葉「もちろん、夫から妻への相続、つまり一次相続の時にはかからないよ。ちなみに一次相続というのはその家で一番最初に起こる相続のことね。一次相続で残された妻又は夫が亡くなった時の相続が二次相続。」

税子「二次相続・・・。今回のキーワードですね。」

稲葉「二次相続の時には予想以上に税金がかかるものなんだよ。もしも、二次相続の時に1億6千万円の財産が残っていた場合の税金は・・・」

税子「えーと。1億6千万円から基礎控除は3,000万+相続人の人数×600万なので今回の場合相続人が2人だから(3,000万+600万×2)で4,200万円ですよね。相続財産から基礎控除を引くと、1億6千万円-4,200万円=1億1,800万円。それを相続人2人で割って、1億1,800万円÷2人=5,900万円・・・」

稲葉「5,900万円は下の相続税額の表を見ると税率30%だから、5,900万円×30%-控除額の700万円=1,070万円。一人分の税額が1,070万円で、相続人2人分だと、1,070万円×2人=2,140万円。二次相続で子供たちが払う税金は2,140万円

税子「一次相続では税金が0円だったのに、相続した金額が同じでも二次相続ではそんなに税金がかかるんですか?!2,140万円も?」

稲葉「そうなんだよね。だから、いくら夫婦間で税金がかからないと言っても、一次相続の時に二次相続まで見据えた遺産分割をすることも大事なんだよね。」

税子「夫婦二人で築き上げた財産だから、全部もらいたい気もするけど、子供たちのことを考えるとそうも言っていられませんね。でも、具体的にはどういう風に財産を分けるのがいいんですか?」

稲葉「じゃあ、次回は二次相続を見据えた遺産分割について説明していくね。」

『1.夫婦の財産は誰のもの?その4 二次相続を見据えた遺産分割』に続きます