2・夫婦の財産は誰のもの?(その2 離婚時の財産分与と相続時の相続財産)

 

税子「前回の話で『夫婦間であってもお金はそれを稼いだ人のもの』という話は聞きました。
でも、それだと納得できない部分があるんですよね。よく、家のお金は夫婦の共有財産って
言うじゃないですか。たとえば・・・そう!離婚!離婚するとき『財産分与』って聞きますよね? あれって半分こですよね?」

稲葉「まあ、絶対じゃないけど婚姻期間中に築き上げた財産を折半するケースは多いね。」

税子「その時も、税法上は夫の財産を妻にあげることになるから『贈与』?贈与税がかかるんですか?」

稲葉「離婚時の財産分与に対して贈与税はかからないよ。国税庁のホームページにも書いてある。」

税子「じゃあ安心ですね。でも、離婚せずにその財産を持ったまま亡くなったら次は相続税ですか・・・?
せっかく私が頑張って貯蓄したのに、最終的に税金で持っていかれるのは嫌だなぁ。
あ!よく、相続税がかかるのが嫌だから奥さんの口座にも貯金を移して夫と妻の財産を
同じくらいの金額にしておく、とか聞くけど、これって有効ですか?」

稲葉「残念ながら全く意味がないんだよね。むしろ税金の申告をするときにややこしくなっちゃうから、デメリットはあってもメリットは無いよ。」

税子「えー!」

稲葉「たとえ奥さんの名義で貯金していたとしても、お金の出所がご主人のお給料であれば、
それはご主人のお金。奥さんは預金の『名義』を貸しているだけっていう考え方になるんだ。
いわゆる名義預金だね。」

税子「じゃあ奥さん名義の貯金だったとしても、それもご主人の相続税の計算に入れるっていうことですか?」

稲葉「そうなのよ。しかも、奥さんのもらった年金、つまり、奥さんの本来の財産も混在しているから、分ける計算がややこしい。」

税子「無意味どころか、後々ややこしくなっちゃうってことですね・・・・。
でも、ちょっと待ってください!二人で貯めたお金は、離婚するときにもらったら 贈与税がかからないんですよね?
なのに、離婚しなかったら最終的に相続税がかかるんですか?
なんかおかしくないですか?じゃあ、相続になる前に離婚しちゃったほうが得なのでは!?」

稲葉「いやいや、そんなことはないって。例えばこのクイズ、どう思う?」

 

税子「えー。税額まではわからないけど、当然子供が相続するのと妻が相続するので
税額は変わってくるべき・・・・。夫婦の共有財産を相続するだけだから、
妻のほうが安くないと納得いかない!」

稲葉「正解!答えは、子供が相続した場合770万円、妻が相続した場合は0円でした。」

税子「妻は相続税がかからないんですか?さっき、名義預金は夫の財産に含めるとか
いろいろ言っていた割には結局非課税?」

稲葉「相続税の計算って、一回すべての財産を合計して税額を計算してから、
それぞれの相続人が 相続した財産の額に応じて税額を案分するの。
そして、そのあと配偶者は優遇措置があるんだよね。 絵を描くと、こんなイメージ。」

 

 

稲葉「相続税って財産が多くなればなるほど税率が高くなるから、たとえば妻名義になっている夫の財産を
『どうせ配偶者は非課税だから』って相続税の計算に入れなかった場合、妻以外の相続人の税額も 優遇されちゃうことになるでしょ?
だから、夫婦で築き上げた財産も一度すべて合計して相続税の計算をして、 それぞれの相続人に割り振った後、 妻が相続した財産のうち
一定額の財産に対応する部分は税金がかからないようにするんだよ。」

税子「具体的に・・・!いくらまで税金はかからないんですか?」

稲葉「1億6千万円か法定相続分のいずれか大きい方だけど、とりあえず
『配偶者が相続で財産をもらったら1億6千万円までは無税』って覚えて置いたらいいと思うよ」

税子「1億6千万円・・・・我が家はまだまだ貯金できますね~!」